たとえば Kenny Garrett の有名な"Sing a Song of Song"。
これは E C D E という進行です。トライアド以外の音を入れるならばトニックのところをすこしブルージーにして E7 CM7(#11) D7 E7 のようにするのをよく聴く気がしますが、そこはいろいろな選択肢があるでしょう。
また、Maria Schneider の"Journey Home"にもそのような進行はたくさん出てきます。
たとえば下の動画の3'58''からのbackgroundなどはその進行のオンパレードです(D→E→F#、G→A→B)。
その他にも探せばたくさんあるはずです。
分析するならば、ある種のサブドミナントマイナーということになるのだと思います。すなわち、Cのキーでいうと、C minor のダイアトニックコードからの借用です。
少し違う言い方をして詳しく書くと、
C minor の平行調である Eb Major のサブドミナント→ドミナントである Ab→Bb をやったのち、Eb に解決せず、Ebの6度の和音であるCmに解決...と見せかけて、Cmにも解決せずに同主長調のトニックである C Major に解決する
という言い方ができると思います。
また、中心軸システムのようなものを持ち出すともっと単純に言うこともできます。この記事で述べたように、中心軸システムでの和音の役割は以下の図に集約されます。
これをみると、Ab(=G#)はサブドミナント、Bbはドミナントであることが一目瞭然です。つまり、C→Ab→Bb→Cという進行は、王道を往く、T-S-D-T型のカデンツと言えるということです(中心軸システムがあくまで平行調の和音との役割の同一性を敷衍したものだと考えれば当たり前のことですが)。
とにもかくにも、Ab→Bb→Cのような進行が自然に聞こえることの一つの説明として、上のような議論がありえると思います。中心軸システムの図はこのようにいろいろな場面で思考を整理するのにとても役に立ちます。
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