まず、五度圏(circle of fifth)を考えます。Cを一番上に持ってきて、時計回りに1つ進むごとに完全五度上がるようにすると、図は下のようになります。
いまキーが C だったとします。このとき、Cはトニック(T)、Gはドミナント(D)、Fはサブドミナント(S)です。
また、Cの平行調であるA (minor)はトニック(T)であるとすると、同様に、Fと平行関係にあるDはサブドミナント(S)、Gと平行関係にあるEはドミナント(D)と捉えられます(このあたりは平行調の概念を持ち出さなくてもよいかもしれません)。
ここまでの様子を図にすると下の通りです:
この図を見ると、S-T-Dのパターンが繰り返されていることに気づきます。この繰り返しを五度圏全体に拡張すると、いわゆる中心軸システムと呼ばれるものが見えてきます。
冒頭にリンクを貼った以前の記事の中で述べた、「結局、短三度ずつ離れた合計4つの音をルートとするドミナント7th同士は同じ機能を有する」というのもある意味上の議論に集約されます。
ここで一つ、この考え方においては、ある意味ではS,T,Dという区別そのものの役割は少し失われている、もしくは少し変化しているということを注意しておきます。
すなわち、もちろん、Tの和音同士、Sの和音同士、Dの和音同士は互いに交換可能、という見方もできますが、たとえばリレイテッド・ツーファイブのようなものを考えるときには、その部分のツーファイブがたとえば「T-S-D」や「D-T-S」のようになることもあり得るということです。そのような意味で、これは伝統的な和声の拡張であるとは言っても、場合によっては従来の和音分析とはかなり異なった様相を呈することも十分にあり得ます。
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