- 0から11までの12個の数字のみを扱う
- その中で足し算を行う、ただし、足し算の結果が12以上になった場合は、12で割った余りを計算結果とする
つまり、1+2=3、4+7=11などはそのまま計算し、5+8や8+9+10など答えが12以上になるものについては、それぞれの和である13や27を12で割った余りの1や3をここでの計算結果とします。すなわち5+8=1、8+9+10=3。
これは数学の用語を使えば\mod 12の合同式を考える、もしくは剰余群\mathbb{Z}/12\mathbb{Z}での和を考えるということです。
さて、このとき、元のオーダーと呼ばれるものについて考えます。これは、集合\{ 0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11\}それぞれの元(集合の要素のこと)に対して、それを何回足すと初めて0になるか、を示すものです。
たとえば、3という元は、4回足すと3+3+3+3=0となって0になります(計算結果が12以上になる場合は12で割った余りを考えるのでした)。また、3回以下では0にはなりません。
このようなとき、3のオーダーは4である、という風に言います。
同じように、4のオーダーは3となりますし(4+4+4=0)、6のオーダーは2です。
また、9のオーダーについて見てみると、9+9 = 6、9+9+9=3、9+9+9+9=0となって、9のオーダーは4です。
5のオーダーはというとこれはかなり大きく、12になります。
ここで一度オーダーを表にまとめておきます。
\begin{array}{r|c|c|c|c|c|c|c|c|c|c|c|c} 元 & 0 & 1 & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 & 7 & 8 & 9 & 10 & 11 \\ \hline オーダー & 1 & 12 & 6 & 4 & 3 & 12 & 2 & 12 & 3 & 4 & 6 & 12 \end{array}
ここまでの話は音高の話に置きかえることができます。すなわち、半音3つ分は短三度ですが、3のオーダーが4であるとはすなわち、短三度を4個積み重ねるとちょうどオクターブになるということ(正確には音名が同じ音になるということ)です。
同様に、4のオーダーが3であるのは、長三度を3個積み重ねるとオクターブになることの言い換えですし、9のオーダーが4であるのは、長六度を4個積み重ねると3オクターブになる(音名は同じ)ということです。
さて、各元のオーダーを考えることは、音楽的にはある意味で、各音程がもつある種の対称性を表していると言えます。対称性というと曖昧ですが、その音程の積み重ねがどの程度の音を含んでいるか、を表しているということです。
ここで突然ですが、ドミナント進行について考えます。ドミナント進行はルートが完全四度動く進行ですが、完全四度は半音5個分です。
一方、裏コードを考えると、ルートが半音動く進行もドミナント進行といえ、それは半音1個分です。
ここで、5と1はともにオーダーが12の元です。
僕の考えでは、完全四度や半音が、ドミナント進行、すなわち何らかの強い進行を示唆する一つの要因として、その繰り返しの中に12個の音全てが現れうる、ということがあります。
すなわち、短三度や長三度の繰り返しでは、4回ないし3回の繰り返しで元の音に戻ってしまい、それ以外の音は永遠に出てきません。すると、12個の音の中に、その繰り返しに現れる音と現れない音の区別ができてしまい、ある意味では、短三度や長三度の動きは「安定している」ことになってしまいます。
一方、完全四度や半音の動きは、その繰り返しの中に12個の音全てが現れるため、ある意味ではそのような「安定」はなく、その意味で全体が一斉に大きく動いたという感覚が生まれる、と考えられます。
つまり、ドミナント進行を特徴づけるのは、オーダーが12であるような元と対応する音程だということです。
ここで、この考え方では強進行と弱進行、すなわちV→IとI→Vの区別は付けられないということは記しておきます。というのも、5と7、1と11はともにオーダーが12の元であって、それらに区別を付けるにはオーダーだけではなく追加の情報を必要とするからです。
さて、ここまでの話を踏まえて、いわゆる「ネガティブハーモニー」との対応を考えてみます。
ネガティブハーモニーとは、端的に言うと、通常の和声進行をなす一つ一つの構成音の音高の上下関係を全てひっくり返したものです。
それを考える根拠などについてはひとまず考えないことにしますが、その結果、個々の音程の関係は、上の動くか下に動くかを除けば完全に保たれます。つまり、もともと半音ずらしたところからの解決があった場合は、ネガティブハーモニー側でも同じように半音動くことによる解決があり、その意味で、個々の音の特定の音程をまたぐ動きが合わさることによって音楽全体が進行するとするならば、ネガティブハーモニー側と元の側での「進行感」はある意味において等しくなるはずです。
ネガティブハーモニーは、ある特定の音を定め、そこを0とおき、そこから上に半音ずつ1,2,\dots,11と番号を振って、あとの音を、1を11に、2を10に、というように、「12からその数字を引いたもの」にそれぞれ置きかえれば簡単に作ることが出来ます(この場合はオクターブの差の情報は失われてしまいますが)。たとえば、下左に示すようなCメジャーのツーファイブを、Gを軸にして裏返すと下右のようになります。コードは便宜的に振ったものです。
さて、この変換は、上に述べたような1から11までの数字の変換だと考えると、それ以外にも同様の変換を考えられるのではないか、という考えが浮かびます。
どういうことかというと、それぞれの数字を「12からその数字を引いたもの」に置きかえる、という操作は、実は、「1を11に送る」と決めればそれだけである意味で決まってしまいます。というのも、「1を11に送る」を踏まえて、「1+1を11+11に送る」とすれば、それは「2を10に送る」ということになりますし(11+11=10)、それ以降も同様に決まっていきます。
つまり、1の行き先さえ決めれば、他のものの行き先は全て決まります。
ここで、1の行き先を、3とか4とか、オーダーが12ではないようなものに指定してしまうと、行き先には12個の音全ては現れないことになってしまいます。というのも、たとえば3をいくつ足しても、0,3,6,9の四種類しか現れないし、他の元についても同様のことが起こるからです。
よって、全ての音の間に上で述べたような種類の対応を作るには、1の行き先として、オーダーが12のものを選ぶ必要があります。それは11の他には5と7のみです。
というわけで、ネガティブハーモニーのある種の拡張として、1を5に、2を5+5=10に、3を5+5+5=3に、、、というように送るものが考えられます。1を7に送るものは、5に送ってからネガティブハーモニーを取ったものと同じになるので、とりあえず5に送るものを考えます。
対応関係は次の通りです。
\begin{array}{r|c|c|c|c|c|c|c|c|c|c|c|c} 元の音 & 0 & 1 & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 & 7 & 8 & 9 & 10 & 11 \\ \hline 移動先の音 & 0 & 5 & 10 & 3 & 8 & 1 & 6 & 11 & 4 & 9 & 2 & 7 \end{array}
上に記したオーダーの表と見比べると、それぞれの元のオーダーは保たれていることが分かります。また、すぐには分かりませんが、これらの音の間の音程のオーダーも全て保たれています。
よって、「半音の動きがもたらす何らかの印象」のようなものを少し拡大して、「オーダーが○○の音程の動きがもたらす何らかの印象」というようなものが存在すると仮定するならば、ここで述べた変換はそれを全て保ってくれるということです。
試みに、上で述べたCメジャーのツーファイブワンを(Cの音を0とし、そこから1オクターブ上までの間にすべて並べる、という方法で)変換したものを下に記しておきます。
6月の演奏予定の方もよろしければご覧下さい↓
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