コードは感覚で振りました。
前半4小節はさておき、ここでは後半4小節に着目したいと思います。以下に記すことは一つの考え方であり、またこの考え方が一番自然だということを主張したいわけではないことを始めに記しておきます。
まず、ベースはずっと4度進行を続けています。完全4度ずつ上昇し、合計12拍で12音がちょうど一回ずつ出てきます。
また、右手の和音の下2声(最初の和音のEの音は無視)は、ルートからみてちょうど3度と7度の音になっており、ルートとそれらを合わせると Dominant 7th (58,59,60小節目の1拍目のみ minor 7th)の和音(の5度省略)になります。
一方、右手の最高音は、半音ずつ上昇しています。
4度進行を3回行うとルートは短3度上に移るので(たとえば A-D-G-C では A から C に短3度上昇する)、半音ずつの上昇と4度進行は、周期3で同じことの繰り返しになる、と言え、ここではそれが目に見える形で現れています。
そして各小節の一拍目では右手の最高音はコードの第5音ですが、二拍目、三拍目では(無理矢理コードネームで表記するならば)#9、M7に相当する音となり、結果的に 7(#9) や 7(M7) のような響きが聴かれることになります(7(M7)は私が勝手に作った記法です)。
この結果的に聴かれる 7(#9) や 7(M7) の和音は私にはとても魅力的に聞こえ、また、出所は違うにせよ、ジャズにおいてよく用いられる 7(#9) にもある程度の応用が利くと思われます。
また、7thの和音に載せられるテンションノートとして M7 の音を選択する人はあまりいないと思われますが、ラヴェルのこの楽曲におけるこの一例は、そのような選択への一つの手がかりを与えてくれるものと思います(以前の投稿で、Keith Jarrett による All The Things You Are の中で、テーマにM7の音がある中 7th のコードを弾くことについて触れましたが、無理矢理結びつければ、これもその一例と言えるでしょう)。
この7(M7)については他の観点からも別の投稿にしたいと思います。
6月の演奏予定の方もよろしければご覧下さい↓
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