7平均律のメジャーコード

以前の記事で、5平均律ではメジャーコードとしてどのような音の集まりを選ぶのが妥当かについて書いた。ここでは同じ議論を7平均律について用いてみる。


$0, 1/7, 2/7, 3/7, 4/7, 5/7, 6/7$の中から、$\log_{2} 1.5 = 0.58496250\dots, \log_{2} 1.25 = 0.32192809\dots$に近いものをそれぞれ選びたい。

$4/7 = 0.571428571428\dots$であるから、$\log_{2} 1.5$には$4/7$が一番近い。また、5平均律のときは$3/5 = 0.6$を選んだから、これは純正な完全五度より広かったが、7平均律で$4/7$を選ぶと今度は純正なものより狭いということになる。また、誤差はこちらの方がわずかに小さい。

また、$2/7 = 0.285714285714\dots$が$\log_{2} 1.25$には最も近い。5平均律では、$2/5 = 0.4$を選んだから、純正よりかなり広い長三度だったが、こちらでは純正よりも狭いものになっている。誤差はこちらの方が小さい。





ここで、マイナートライアドについて考えてみる。マイナートライアドの起源をどう捉えるかはともかく、マイナートライアドはメジャートライアドの音程の関係を上下逆さまにしたものと言うことができる。すると、5平均律のときのマイナートライアドは、根音、その1つ上の音、さらにその2つ上の音、となる(メジャートライアドを「ドミソ」、マイナートライアドを「ラドミ」で代表した):



一方、7平均律では、上で見たように、メジャートライアドでの下の2つの音の間の間隔(「長三度」)と、上の2つの音の間の間隔(「短三度」)がともにオクターブの2/7倍となり等しくなってしまう。すなわち、メジャートライアドとマイナートライアドが一致してしまうことになる。

この現象はある意味では長短の区別がつけられないという7平均律の持つ欠陥とみることもできるし、逆に、長短という概念に左右されない新たな音楽が作れるという見方もできるだろう。

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