トランスクリプションのリンクをまとめました。
Chick Corea "Got A Match?" ("The Chick Corea Elektric Band")
https://otohitofusepiano.blogspot.com/2019/07/chick-corea-got-match-chick-corea.html
Herbie Hancock's Piano Solo in "Long Come Tutu" ("Givin' It Up" by George Benson & Al Jarreau)
https://otohitofusepiano.blogspot.com/2019/07/george-benson-al-jarreau-long-come-tutu.html
Keith Jarrett Trio "All The Things You Are" (1996, Tokyo)
Piano Solo:
1:https://otohitofusepiano.blogspot.com/2019/06/keith-jarrett-trio-all-things-you-are.html
2:https://otohitofusepiano.blogspot.com/2019/06/keith-jarrett-trio-all-things-you-are_8.html
3:https://otohitofusepiano.blogspot.com/2019/06/keith-jarrett-trio-all-things-you-are_12.html
4:https://otohitofusepiano.blogspot.com/2019/06/keith-jarrett-trio-all-things-you-are_14.html
Intro:
https://otohitofusepiano.blogspot.com/2019/07/keith-jarrett-trio-all-things-you-are.html
Kurt Rosenwinkel "Inner Urge" (Peter Beets Trio with Kurt Rosenwinkel)
1:https://otohitofusepiano.blogspot.com/2019/06/kurt-rosenwinkel-inner-urge-peter-beets.html
2:https://otohitofusepiano.blogspot.com/2019/06/kurt-rosenwinkel-inner-urge-peter-beets_26.html
3:https://otohitofusepiano.blogspot.com/2019/06/kurt-rosenwinkel-inner-urge-peter-beets_28.html
Lyle Mays "Chorinho" ("Street Dreams")
Piano Solo:https://otohitofusepiano.blogspot.com/2019/07/lyle-mays-chorinho-street-dreams-piano.html
Lyle Mays "Highland Aire" ("Lyle Mays")
Piano Solo:https://otohitofusepiano.blogspot.com/2019/08/lyle-mays-highland-aire-lyle-mays-piano.html
Pat Metheny Group "Better Days Ahead" ("Letter From Home")
Guitar Solo:https://otohitofusepiano.blogspot.com/2019/07/pat-metheny-group-better-days-ahead.html
Pat Metheny "Lakes" ("Watercolors")
Guitar Solo:https://otohitofusepiano.blogspot.com/2019/07/pat-metheny-lakes-watercolors-guitar.html
Pat Metheny "Watercolors" ("Watercolors")
Guitar Solo:https://otohitofusepiano.blogspot.com/2019/07/pat-metheny-watercolors-watercolors.html
Kurt Rosenwinkel "Inner Urge" (Peter Beets Trio with Kurt Rosenwinkel) / Transcription 3
この記事の続きで、この動画の Kurt Rosenwinkel のギターソロのうち、最後の9~12コーラス目の部分です。
9コーラス目は高い音域から始まっていて、またF#m7(b5)でナチュラル9thの音を使っています。同音連打のフレーズも特徴的です。
二段目のFM7(#11)では、Gのメジャーペンタを意識させるようなフレーズを弾いています。スケールの根音を含まないペンタトニックでのフレーズづくりという意味でも面白いと思います。
三段目では8分音符3つずつを一区切りにした下降形のアルペジオの繰り返しがあります。3つ割りと普通の2の倍数のフレーズの組み合わせで面白いアクセントの連続ができているよい例だと思います。
休符を多用したフレーズが多くて管楽器のソロのようです。
一段目はコードが変わっても音形の一番上の音は全て G# になってて示唆的です。実際この4つのコード上の(リディアン)スケールにはずっと G# = Ab の音が含まれているので、このアイデアはいろいろ使えると思います(この4つのスケール全てに共通して含まれる音は C# と G# のみです)。
最後のコーラスは爆発して終わります。
12コーラスのソロを全体的にみると、どのフレーズも、大きく跳躍していたとしてもそのトップノートはスムーズに動いていたり、コードが変わってもトップノートは変わらなかったりなどしていて、歌いやすいラインだと思います。また、跳躍の少ないところでの8分音符4つ単位などでの音形のバリエーションの豊富さもさすがだなぁと思わせられます。
音形だけ真似するとか、リズムだけ真似するとかでも十分にいろんなことを学ばせてくれるソロだと思います。
ある音列を含むシンメトリカルスケールの簡潔な表記
数式を用いた音の集合の表記の話題です。この記事の続きになります。
少し話を整理します。まず、音全体の集合をTとおきました。すなわち、
T = \{ C, C^{\#}, D, D^{\#}, E, F, F^{\#}, G, G^{\#}, A, A^{\#}, B \}
また、Tの要素を、「長三度離れている音どうしは同じグループに属する」というルールで分別したものをT_{\mathrm{AUG}}と書いていました:
T_{\mathrm{AUG}} = \{ \{C, E, G^{\#}\}, \{C^{\#}, F, A\}, \{D, F^{\#}, A^{\#}\}, \{D^{\#}, G, B\} \}
そして、TからT_{\mathrm{AUG}}へ、自然な写像p_{\mathrm{AUG}}を定義しました。これは、「音に対して、その音を含むグループを対応させる写像」です。
さて、ここでは次のような問題を考えます。
少し話を整理します。まず、音全体の集合をTとおきました。すなわち、
T = \{ C, C^{\#}, D, D^{\#}, E, F, F^{\#}, G, G^{\#}, A, A^{\#}, B \}
です。
また、Tの要素を、「長三度離れている音どうしは同じグループに属する」というルールで分別したものをT_{\mathrm{AUG}}と書いていました:
T_{\mathrm{AUG}} = \{ \{C, E, G^{\#}\}, \{C^{\#}, F, A\}, \{D, F^{\#}, A^{\#}\}, \{D^{\#}, G, B\} \}
これは4つの要素からなる集合です。
そして、TからT_{\mathrm{AUG}}へ、自然な写像p_{\mathrm{AUG}}を定義しました。これは、「音に対して、その音を含むグループを対応させる写像」です。
さて、ここでは次のような問題を考えます。
あるコードが与えられたとき、そのコードを含む最も小さいシンメトリカルスケールは何か?
ショパン『幻想ポロネーズ』に登場するディミニッシュスケール 1
ショパンの楽曲には、様々な意味で、ジャズのアドリブにも通じるような面白い音使いが随所に現れていると思います。特に、ディミニッシュにおけるモチーフの機械的な展開はとても興味深い上にバリエーションも豊富で、かつショパンに特有の香りも感じさせてくれ、ショパンの作品を特徴付けるものの一つになっていると言えるかもしれません。
この記事ではそのようなものの中から、モチーフの展開とは少し違いますが、いわゆる「ディミニッシュスケール」があからさまに現れている箇所を扱います。
ディミニッシュスケールはシンメトリカルスケールの一種で、そのような文脈での使用はメシアンら以降に顕著なのかもしれませんが、ディミニッシュスケール自体はもっと以前、たとえばショパンの作品にも数多く登場します。
ショパンの晩年の作品、『幻想ポロネーズ 変イ長調 Op.61』の128小節目からの4小節間は下のようになっています(エキエル版を元に Finale で打ち込んでいます)。
この記事ではそのようなものの中から、モチーフの展開とは少し違いますが、いわゆる「ディミニッシュスケール」があからさまに現れている箇所を扱います。
ディミニッシュスケールはシンメトリカルスケールの一種で、そのような文脈での使用はメシアンら以降に顕著なのかもしれませんが、ディミニッシュスケール自体はもっと以前、たとえばショパンの作品にも数多く登場します。
ショパンの晩年の作品、『幻想ポロネーズ 変イ長調 Op.61』の128小節目からの4小節間は下のようになっています(エキエル版を元に Finale で打ち込んでいます)。
該当箇所を弾いたものです↓
Kurt Rosenwinkel "Inner Urge" (Peter Beets Trio with Kurt Rosenwinkel) / Transcription 1
以下の動画(Inner Urge | Peter Beets Trio with Kurt Rosenwinkel)は結構有名でもあると思いますが、カートのソロが(いつも通り)信じられないぐらいすばらしいので一時期よく聴いていました。ギターソロは全部で12コーラスありますが、4コーラスずつ記事にしたいと思います。
A Child is Born と ネガティブハーモニー
A Child is Born というスタンダードの冒頭のコード進行は
となっています。Ebm のところは Ebm6 = Cm7(b5) としてもよいでしょう。
この進行について一つ言えることを記したいと思います。
突然ですが、通常のドミナント進行、たとえば G7→C という進行の音程の関係を全て上下ひっくり返して「ネガティブ側」にうつしてみると、IIm7(b5)→Im となります。
つまり、G7→Cは下の図のような進行ですが:
BbM | Ebm/Bb | BbM | Ebm/Bb
となっています。Ebm のところは Ebm6 = Cm7(b5) としてもよいでしょう。
この進行について一つ言えることを記したいと思います。
突然ですが、通常のドミナント進行、たとえば G7→C という進行の音程の関係を全て上下ひっくり返して「ネガティブ側」にうつしてみると、IIm7(b5)→Im となります。
つまり、G7→Cは下の図のような進行ですが:
これの音程の関係を全て上下逆転させれば下のようになります:
ここで、P4は完全四度、M3は長三度、m3は短三度などを表しています。half tone は半音です。
よって、たとえば Dm7(b5)→Cm のような進行は、「ポジティブ側」のドミナント進行に比するようなある種重要な和音進行だと言えます。
minilogue xd と Lyle Mays のシンセリード
最近KORG社のアナログシンセサイザー minilogue xd を購入しました!
これまでも、KORGのアナログモデリングデジタルシンセのKingKORGや、YAMAHAのFMシンセ、reface DX などはもっていましたが、アナログシンセを持つのは初めてのことで、それだけでもかなりうれしいものがあります。
しかもこのシンセはいろいろといじれる部分が多く、また先代の minilogue に比べて Multi Engine など様々な点で更に進化しており、ずっと触っていても飽きません。音もかなりよいように思います。内蔵のエフェクターもすばらしくて、単音を延ばし続けていろいろいじっていくだけでかなりいろんな表現ができます。
さて、このシンセはオシレーターが2つ(+Multi Engine)ついており、それぞれにピッチをいじることができます。
また、AMP EGと他にもう1つだけEGがついており、そのターゲットを「PITCH」「PITCH 2」「CUTOFF」の中から選べるようになっています。「PITCH 2」を選べば、2つのオシレーターの音のうち片方だけにEGをかけることができます。
これで思い出したのが、Lyle Mays が Pat Metheny Group の楽曲などでたくさん鳴らしているリコーダーのような爽快なシンセリードの音色です。
以前もあの音色について調べたことはあり、いくつかのサイトでその作り方を説明してくれてもいました。すなわちその作り方とは、
このときのパネルは下のようになっています。
これまでも、KORGのアナログモデリングデジタルシンセのKingKORGや、YAMAHAのFMシンセ、reface DX などはもっていましたが、アナログシンセを持つのは初めてのことで、それだけでもかなりうれしいものがあります。
しかもこのシンセはいろいろといじれる部分が多く、また先代の minilogue に比べて Multi Engine など様々な点で更に進化しており、ずっと触っていても飽きません。音もかなりよいように思います。内蔵のエフェクターもすばらしくて、単音を延ばし続けていろいろいじっていくだけでかなりいろんな表現ができます。
さて、このシンセはオシレーターが2つ(+Multi Engine)ついており、それぞれにピッチをいじることができます。
また、AMP EGと他にもう1つだけEGがついており、そのターゲットを「PITCH」「PITCH 2」「CUTOFF」の中から選べるようになっています。「PITCH 2」を選べば、2つのオシレーターの音のうち片方だけにEGをかけることができます。
これで思い出したのが、Lyle Mays が Pat Metheny Group の楽曲などでたくさん鳴らしているリコーダーのような爽快なシンセリードの音色です。
以前もあの音色について調べたことはあり、いくつかのサイトでその作り方を説明してくれてもいました。すなわちその作り方とは、
- 矩形波を複数のオシレーターから同時に出し、ローパスフィルターですこし丸い音にする
- EGを用いて、発音してすぐは音同士のピッチがずれていて、それがだんだん近づくようにする
というものです。矩形波ではなく三角波を利用してもよいように思います。
これを minilogue xd で再現するには、単純に二つのオシレーターから矩形波をだし、EGのターゲットを「PITCH 2」にして、EGをAttack 0、Decay を適度な値にして、ほんのわずかにオシレーター2のピッチだけ高く、もしくは低くすればよいです(低い方からしゃくりあげるのと高い方から低くするのと、本家がどっちなのかまでは詳しく見ていないので分かっていません)。
実際に作って、有名な"It's For You"の冒頭の部分を弾いてみました。
このときのパネルは下のようになっています。
Ab-Bb-C のような進行について
主にフュージョン以降のジャズなどで、Ab→Bb→C (全てメジャー)のような進行をよく見る気がします。
たとえば Kenny Garrett の有名な"Sing a Song of Song"。
これは E C D E という進行です。トライアド以外の音を入れるならばトニックのところをすこしブルージーにして E7 CM7(#11) D7 E7 のようにするのをよく聴く気がしますが、そこはいろいろな選択肢があるでしょう。
また、Maria Schneider の"Journey Home"にもそのような進行はたくさん出てきます。
たとえば下の動画の3'58''からのbackgroundなどはその進行のオンパレードです(D→E→F#、G→A→B)。
その他にも探せばたくさんあるはずです。
分析するならば、ある種のサブドミナントマイナーということになるのだと思います。すなわち、Cのキーでいうと、C minor のダイアトニックコードからの借用です。
少し違う言い方をして詳しく書くと、
C minor の平行調である Eb Major のサブドミナント→ドミナントである Ab→Bb をやったのち、Eb に解決せず、Ebの6度の和音であるCmに解決...と見せかけて、Cmにも解決せずに同主長調のトニックである C Major に解決する
という言い方ができると思います。
中心軸システムの図
まず、五度圏(circle of fifth)を考えます。Cを一番上に持ってきて、時計回りに1つ進むごとに完全五度上がるようにすると、図は下のようになります。
いまキーが C だったとします。このとき、Cはトニック(T)、Gはドミナント(D)、Fはサブドミナント(S)です。
また、Cの平行調であるA (minor)はトニック(T)であるとすると、同様に、Fと平行関係にあるDはサブドミナント(S)、Gと平行関係にあるEはドミナント(D)と捉えられます(このあたりは平行調の概念を持ち出さなくてもよいかもしれません)。
ここまでの様子を図にすると下の通りです:
この図を見ると、S-T-Dのパターンが繰り返されていることに気づきます。この繰り返しを五度圏全体に拡張すると、いわゆる中心軸システムと呼ばれるものが見えてきます。
Kreisler 編曲の Londonderry Air (Danny Boy) について
Danny Boy という曲はセッションでもよく演奏されますが、元々は Londonderry Air というアイルランド民謡であり、ヴァイオリニストの Kreisler はそれに Farewell to Cucullain という題をつけて演奏しています。
僕はジャズを聴く前からこの曲の Kreisler 本人による演奏がとても心に染みいるようで大変好みで、また、この編曲もとても美しいと思っていましたが、この曲が「Danny Boy」としてスタンダード曲集に載っているのを見たり、それを用いてセッションを行ったりしたあとに考えると、この編曲はそれ自体かなり洗練されていて、いつ弾いてもとても心地が良いですし、ソロピアノなどへもかなり応用が出来そうです。
ヴァイオリンとピアノに加えてチェロも入っているトリオの譜面ならば imslp から無料でダウンロードもできます。
販売されている譜面を堂々と載せて議論するのははばかられるので、この中から、テーマの8小節目の進行にだけ着目したいと思います。
トリオ版では以下のようになっています(上の動画のものとはボイシングが異なります)。
僕はジャズを聴く前からこの曲の Kreisler 本人による演奏がとても心に染みいるようで大変好みで、また、この編曲もとても美しいと思っていましたが、この曲が「Danny Boy」としてスタンダード曲集に載っているのを見たり、それを用いてセッションを行ったりしたあとに考えると、この編曲はそれ自体かなり洗練されていて、いつ弾いてもとても心地が良いですし、ソロピアノなどへもかなり応用が出来そうです。
ヴァイオリンとピアノに加えてチェロも入っているトリオの譜面ならば imslp から無料でダウンロードもできます。
販売されている譜面を堂々と載せて議論するのははばかられるので、この中から、テーマの8小節目の進行にだけ着目したいと思います。
トリオ版では以下のようになっています(上の動画のものとはボイシングが異なります)。
Positive-Negative harmony dictionary
ネガティブハーモニーと呼ばれるものが指し示す範囲は色々あると思いますが、その根本として、通常のハーモニーを「ポジティブ側」とみなし、それと対になる「ネガティブ側」を想定する、という構図はどの視点にも共通すると思います。
なので、備忘録的に、両者の間の「翻訳」を辞書のような形でまとめていきたいと思います。ひとまずは簡単に分かる基本的な和音同士の対応と、昨日の記事で述べたメジャースケールの拡張です。
\begin{array}{l|l} \mathbf{positive} & \mathbf{negative} \\ \hline \hline major\ triad & minor\ triad \\ \hline major\ 7th\ chord & minor\ \flat 6th\ chord \\ \hline major\ 6th\ chord & minor\ 7th\ chord \\ \hline 7th\ chord & minor\ 6th\ chord \\ \hline V7 \rightarrow I & IIm7(\flat 5) \rightarrow Im \\ \hline major\ scale & natural\ minor\ scale \\ \hline harmonic\ major\ scale & harmonic\ minor\ scale \\ \hline mixolydian\ \flat 6\ scale & melodic\ minor\ scale \\ \hline \end{array}
なので、備忘録的に、両者の間の「翻訳」を辞書のような形でまとめていきたいと思います。ひとまずは簡単に分かる基本的な和音同士の対応と、昨日の記事で述べたメジャースケールの拡張です。
\begin{array}{l|l} \mathbf{positive} & \mathbf{negative} \\ \hline \hline major\ triad & minor\ triad \\ \hline major\ 7th\ chord & minor\ \flat 6th\ chord \\ \hline major\ 6th\ chord & minor\ 7th\ chord \\ \hline 7th\ chord & minor\ 6th\ chord \\ \hline V7 \rightarrow I & IIm7(\flat 5) \rightarrow Im \\ \hline major\ scale & natural\ minor\ scale \\ \hline harmonic\ major\ scale & harmonic\ minor\ scale \\ \hline mixolydian\ \flat 6\ scale & melodic\ minor\ scale \\ \hline \end{array}
ハーモニックメジャースケールについて
ハーモニックメジャースケールと(俗に)呼ばれているスケールがあります。Cから始めると下のようなものです。
ここでは実例は挙げませんが、その一つの解釈について述べます。
三つのマイナースケールは、次のような論理で生まれたとよく言われます。
ここでは実例は挙げませんが、その一つの解釈について述べます。
三つのマイナースケールは、次のような論理で生まれたとよく言われます。
- はじめに自然的短音階(ナチュラルマイナー)があった
- 導音(「シ」の音)から主音への解決が、自然的短音階では長二度の動きとなって大変なので、導音が半音上がり、和声的短音階(ハーモニックマイナー)になった
- 和声的短音階では、「ラ」と「シ」の間に増二度という隔たりがあって歌いにくいので、「ラ」も半音上がり、旋律的短音階(メロディックマイナー)になった
三つのスケールを楽譜にすれば下の通りです。
ここで、長調と短調の関係を、いわゆる「ネガティブハーモニー」や「下方倍音列」の考え方のように、音程の関係を上下ひっくり返したものだと捉えてみます。
すなわち、長三和音をなす音程は下から長三度、短三度。一方で短三和音をなす音程は上から長三度、短三度。
12という数字について
こんにち、街中で聴かれる音楽は大抵は1オクターブを12等分してできる音のシステムを利用して作られています。
この12という数字の必然性についてはここでは論じませんが、12という数字であった結果生まれる現象について4つほど考えていることを記してみます。
まず、シンメトリカルスケールが多く存在します。
これは12が約数を多くもっていることに起因します。1から11までの整数のうち、12と互いに素であるものは1,5,7,11の4つしかなく、残りの7つの数に対応する音程については、その繰り返しによって容易にシンメトリカルなスケールないしコードが発生します(長二度の繰り返しはホールトーンスケール、短三度の繰り返しはディミニッシュ7th、長三度の繰り返しはオーグメンテッドトライアドなど)。
次に、ドミナント進行が存在します。
これは僕の考えでしかありませんが、この記事でも記したように、完全四度上昇するという動きが進行感を与えることの要因の一つに、完全四度という音程の繰り返しには、12個の音全てが登場し、短三度や長三度の繰り返しのときのように、12音のうち現れる音と現れない音がある、ということがない、ということがあると思います。
これは、完全四度が半音5つ分であることを踏まえると、12と5が互いに素だということと等価です。そして、上で述べたように、そのような数は1から11の中では1と5と7と11しかありません。
これによって、強い進行感を与えるもの(四度進行とその逆向きの進行、裏コードからの解決という半音下降の進行とその逆向きの進行)とそうでないもの(それ以外)という序列が可能になっていると考えることができます。
もしもオクターブがたとえば13音や17音であったならば、1から12、もしくは1から16までのすべての数がそれぞれ13や17と互いに素なので、上で述べた論理のみから考えるならば、すべての音程の間の移動がドミナント進行のような強い進行感を生み出すことになります。
上のことに加え、ドミナント進行と裏コードが対になっています。
これは、12と互いに素なもの4つ、1,5,7,11を、それぞれ6ずつ離れたものたち、つまり1と7、5と11に分類できるということです。一般には、ある自然数と互いに素なものたちどうしの距離が、その自然数のちょうど半分になるとは限りませんが、ここではそのようなきれいな対が発生しており、裏コードの性質をこれで特徴付けることもできるかもしれません。このように2つずつに分類することで、ドミナント進行とその逆向きの進行を区別することも可能です。
この12という数字の必然性についてはここでは論じませんが、12という数字であった結果生まれる現象について4つほど考えていることを記してみます。
まず、シンメトリカルスケールが多く存在します。
これは12が約数を多くもっていることに起因します。1から11までの整数のうち、12と互いに素であるものは1,5,7,11の4つしかなく、残りの7つの数に対応する音程については、その繰り返しによって容易にシンメトリカルなスケールないしコードが発生します(長二度の繰り返しはホールトーンスケール、短三度の繰り返しはディミニッシュ7th、長三度の繰り返しはオーグメンテッドトライアドなど)。
次に、ドミナント進行が存在します。
これは僕の考えでしかありませんが、この記事でも記したように、完全四度上昇するという動きが進行感を与えることの要因の一つに、完全四度という音程の繰り返しには、12個の音全てが登場し、短三度や長三度の繰り返しのときのように、12音のうち現れる音と現れない音がある、ということがない、ということがあると思います。
これは、完全四度が半音5つ分であることを踏まえると、12と5が互いに素だということと等価です。そして、上で述べたように、そのような数は1から11の中では1と5と7と11しかありません。
これによって、強い進行感を与えるもの(四度進行とその逆向きの進行、裏コードからの解決という半音下降の進行とその逆向きの進行)とそうでないもの(それ以外)という序列が可能になっていると考えることができます。
もしもオクターブがたとえば13音や17音であったならば、1から12、もしくは1から16までのすべての数がそれぞれ13や17と互いに素なので、上で述べた論理のみから考えるならば、すべての音程の間の移動がドミナント進行のような強い進行感を生み出すことになります。
上のことに加え、ドミナント進行と裏コードが対になっています。
これは、12と互いに素なもの4つ、1,5,7,11を、それぞれ6ずつ離れたものたち、つまり1と7、5と11に分類できるということです。一般には、ある自然数と互いに素なものたちどうしの距離が、その自然数のちょうど半分になるとは限りませんが、ここではそのようなきれいな対が発生しており、裏コードの性質をこれで特徴付けることもできるかもしれません。このように2つずつに分類することで、ドミナント進行とその逆向きの進行を区別することも可能です。
元のオーダーとネガティブハーモニーの拡張
突然ですが、次のようなことを考えます。
つまり、1+2=3、4+7=11などはそのまま計算し、5+8や8+9+10など答えが12以上になるものについては、それぞれの和である13や27を12で割った余りの1や3をここでの計算結果とします。すなわち5+8=1、8+9+10=3。
これは数学の用語を使えば\mod 12の合同式を考える、もしくは剰余群\mathbb{Z}/12\mathbb{Z}での和を考えるということです。
さて、このとき、元のオーダーと呼ばれるものについて考えます。これは、集合\{ 0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11\}それぞれの元(集合の要素のこと)に対して、それを何回足すと初めて0になるか、を示すものです。
たとえば、3という元は、4回足すと3+3+3+3=0となって0になります(計算結果が12以上になる場合は12で割った余りを考えるのでした)。また、3回以下では0にはなりません。
このようなとき、3のオーダーは4である、という風に言います。
同じように、4のオーダーは3となりますし(4+4+4=0)、6のオーダーは2です。
また、9のオーダーについて見てみると、9+9 = 6、9+9+9=3、9+9+9+9=0となって、9のオーダーは4です。
5のオーダーはというとこれはかなり大きく、12になります。
ここで一度オーダーを表にまとめておきます。
\begin{array}{r|c|c|c|c|c|c|c|c|c|c|c|c} 元 & 0 & 1 & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 & 7 & 8 & 9 & 10 & 11 \\ \hline オーダー & 1 & 12 & 6 & 4 & 3 & 12 & 2 & 12 & 3 & 4 & 6 & 12 \end{array}
ここまでの話は音高の話に置きかえることができます。すなわち、半音3つ分は短三度ですが、3のオーダーが4であるとはすなわち、短三度を4個積み重ねるとちょうどオクターブになるということ(正確には音名が同じ音になるということ)です。
同様に、4のオーダーが3であるのは、長三度を3個積み重ねるとオクターブになることの言い換えですし、9のオーダーが4であるのは、長六度を4個積み重ねると3オクターブになる(音名は同じ)ということです。
- 0から11までの12個の数字のみを扱う
- その中で足し算を行う、ただし、足し算の結果が12以上になった場合は、12で割った余りを計算結果とする
つまり、1+2=3、4+7=11などはそのまま計算し、5+8や8+9+10など答えが12以上になるものについては、それぞれの和である13や27を12で割った余りの1や3をここでの計算結果とします。すなわち5+8=1、8+9+10=3。
これは数学の用語を使えば\mod 12の合同式を考える、もしくは剰余群\mathbb{Z}/12\mathbb{Z}での和を考えるということです。
さて、このとき、元のオーダーと呼ばれるものについて考えます。これは、集合\{ 0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11\}それぞれの元(集合の要素のこと)に対して、それを何回足すと初めて0になるか、を示すものです。
たとえば、3という元は、4回足すと3+3+3+3=0となって0になります(計算結果が12以上になる場合は12で割った余りを考えるのでした)。また、3回以下では0にはなりません。
このようなとき、3のオーダーは4である、という風に言います。
同じように、4のオーダーは3となりますし(4+4+4=0)、6のオーダーは2です。
また、9のオーダーについて見てみると、9+9 = 6、9+9+9=3、9+9+9+9=0となって、9のオーダーは4です。
5のオーダーはというとこれはかなり大きく、12になります。
ここで一度オーダーを表にまとめておきます。
\begin{array}{r|c|c|c|c|c|c|c|c|c|c|c|c} 元 & 0 & 1 & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 & 7 & 8 & 9 & 10 & 11 \\ \hline オーダー & 1 & 12 & 6 & 4 & 3 & 12 & 2 & 12 & 3 & 4 & 6 & 12 \end{array}
ここまでの話は音高の話に置きかえることができます。すなわち、半音3つ分は短三度ですが、3のオーダーが4であるとはすなわち、短三度を4個積み重ねるとちょうどオクターブになるということ(正確には音名が同じ音になるということ)です。
同様に、4のオーダーが3であるのは、長三度を3個積み重ねるとオクターブになることの言い換えですし、9のオーダーが4であるのは、長六度を4個積み重ねると3オクターブになる(音名は同じ)ということです。
いわゆる「中心軸システム」の基礎について
いわゆる「裏コード」や「サブドミナントマイナー」の帰結として得られる、和声の機能の12音全体へのある種の拡張についてまとめます。
「裏コード」は、
ドミナント7thを最も特徴づけているのは、ドミナント7thに含まれる増四度の音程をなす2音であり、そこからのトニックへの解決において本質的なのは、その2音がそれぞれ半音移動してトニックの和声音に解決する動きである
という観点から、その増四度音程を共有しているもう一つのドミナント7th=「裏コード」も同じ機能を持っている、という考え方です。たとえば、G7を特徴づけているのはFとBという2音であり、Cへの解決において、その2音を共有しているDb7ともとのG7とは同じ機能を有しているわけです。
一方、「サブドミナントマイナー」は、近親調からの借用和音の一種で、具体的には、長調において、同主短調のダイアトニックコードのうちサブドミナントの機能を有しているものを借用してきたものです。ここではその中でも、スタンダードにおいてもよく登場する次のような進行に注目します。
これはスタンダードの "I'll close my eyes" の9,10,11小節目を抜き出したものです(10小節目の前半のBbmin7は一般的ではないかもしれません)。この例では F に向かって進む和声進行として、 Bbmin7→Eb7 というツーファイブが現れています。このツーファイブは通常であれば Ab に解決するものですが、この進行の一つの解釈として、これは Ab Major ≒ F minor からの借用和音である、ということが言えます。
また、少し他の解釈としては、Eb7とC7は構成音が似ている、という考え方もあります。実際、両者に b9th を付け足してみると、Eb7(b9)は Eb, G, Bb, Db, E、C7(b9)は C, E, G, Bb, Db となり、5つのうち4つが共通しています(異名同音は略記しました)。これは、7th(b9)の根音以外の4音が dim7 の和音となり、 dim7 は短三度移動について対称性を持つので、当たり前のことでもあります。
拡張シンメトリカルスケールの定義
先日の記事に引き続いて、数式を使ってシンメトリカルスケールに関することを少し整理してみたいと思います。
設定を整理します。まず、音の集合Tを
T = \{ C, C^{\#}, D, D^{\#}, E, F, F^{\#}, G, G^{\#}, A, A^{\#}, B \}
また、集合T_{\mathrm{AUG}}を、4つの要素からなる集合
T_{\mathrm{AUG}} = \{ \{C, E, G^{\#}\}, \{C^{\#}, F, A\}, \{D, F^{\#}, A^{\#}\}, \{D^{\#}, G, B\} \} = \{C_{\mathrm{aug}}, C^{\#}_{\mathrm{aug}}, D_{\mathrm{aug}}, D^{\#}_{\mathrm{aug}} \}
この設定のもとで先日は、たとえばチェレプニン音階のように、長3度移調すると構成音が元と全く同じになってしまって、移調が(ある意味では)12回より少ない回数しか実現できないようなものについて、その性質の言い換えを試みていました。
で定義します。そして、コードやスケールは全て、このTの部分集合だと思うことにします。
また、集合T_{\mathrm{AUG}}を、4つの要素からなる集合
T_{\mathrm{AUG}} = \{ \{C, E, G^{\#}\}, \{C^{\#}, F, A\}, \{D, F^{\#}, A^{\#}\}, \{D^{\#}, G, B\} \} = \{C_{\mathrm{aug}}, C^{\#}_{\mathrm{aug}}, D_{\mathrm{aug}}, D^{\#}_{\mathrm{aug}} \}
と定義し、写像p_{\mathrm{AUG}} : T \rightarrow T_{\mathrm{AUG}}を、各音をそれが含まれるグループに送るような写像とします。
この設定のもとで先日は、たとえばチェレプニン音階のように、長3度移調すると構成音が元と全く同じになってしまって、移調が(ある意味では)12回より少ない回数しか実現できないようなものについて、その性質の言い換えを試みていました。
Up With The Lark / Jerome Kern
Jerome Kern 作曲の Up With The Lark という3拍子の曲について書きます。
この曲は Bill Evans Trio が主に晩年によく演奏していた曲です。最後の録音となった Consecration にも入っていますし、1973年の東京でのライブのテイクなども有名だと思います。YouTubeで検索すればたくさんでてきます。たとえばこれなどがあります。
ベースがマークジョンソン、ドラムがジョーラバーベラの、最晩年のテイクです。
Bill Evans Trio が演奏していたような構成でリードシートを書きました。
この曲は Bill Evans Trio が主に晩年によく演奏していた曲です。最後の録音となった Consecration にも入っていますし、1973年の東京でのライブのテイクなども有名だと思います。YouTubeで検索すればたくさんでてきます。たとえばこれなどがあります。
Bill Evans Trio が演奏していたような構成でリードシートを書きました。
数式のテスト: 12種類の音名を使った数あそびの枠組み
TeXソースを打つと自動的に数式を表示してくれるMathJaxというものを入れてみたので(導入はとても簡単)、そのテストも兼ねて、12種類の音(より正確には音名)を使っていろいろとパズル的に遊んでいくための枠組みを集合の記法を使って記してみたいと思います。
まず、音の集合をTと置きます。Tは12個の要素からなり、それは以下の通りです。
T = \{ C, C^{\#}, D, D^{\#}, E, F, F^{\#}, G, G^{\#}, A, A^{\#}, B \}
コードやスケールは全てこのTの部分集合であるとみなすことにします。たとえば、
C_{\mathrm{m}7} = \{C, D^{\#}, G, A^{\#}\} \subset T
集合同士を見分けるとき、要素を書き並べる順番は関係ないので、集合として一致するという意味で、たとえば
C_{\mathrm{aug}} = E_{\mathrm{aug}} = G^{\#}_{\mathrm{aug}} = \{C, E, G^{\#}\}
また、このようにしておくと、あるコードがあるスケールのダイアトニックコードであるかどうかは(おおむね)集合同士の包含関係で考えることができます。たとえば、
E_{7} = \{D, E, G^{\#}, B\} \subset \{C, D, E, F^{\#}, G^{\#}, A, B\} = A_{\mathrm{mel.min}}
さて、Tの部分集合を(1音だけの場合も)総称してスケールと呼ぶことにすると、スケールの個数はTの部分集合の個数、すなわち2^{12} = 4096個ということになります。空集合の場合は考えないことにするならば4095個です。
それらのスケールのうち、ある性質を満たすものはどのくらいの種類があるのか、ということについて、この枠組みで少し考えてみたいと思います。
性質にもいろいろな種類があると思いますが、まずはいわゆる「移調の限られた」ものについて考えてみます。この用語は作曲家のオリヴィエ・メシアンによるもので、Wikipediaにある程度詳しい解説があります。
例として、移調が4回可能なスケールについて考えます。移調が12回ではなく4回しか可能ではないというのはどういうことかと言えば、半音ずつずらしていって、5個目の「調」まで移調したときに、もとのスケールと完全に構成音が一致してしまう、ということです。
たとえば、
C_{\mathrm{Tchel}} = \{C, C^{\#}, D^{\#}, E, F, G, G^{\#}, A, B\}
これを半音ずつ上げていくと、
C_{\mathrm{Tchel}} = \{C, C^{\#}, D^{\#}, E, F, G, G^{\#}, A, B\}
この先も周期4で同じことの繰り返しなので、結局、「調」の違いは合計で4種類しかないというわけです。
まず、音の集合をTと置きます。Tは12個の要素からなり、それは以下の通りです。
T = \{ C, C^{\#}, D, D^{\#}, E, F, F^{\#}, G, G^{\#}, A, A^{\#}, B \}
ただし、異名同音の煩雑さを避けるためここでは全てシャープで表記することにしています。
コードやスケールは全てこのTの部分集合であるとみなすことにします。たとえば、
C_{\mathrm{m}7} = \{C, D^{\#}, G, A^{\#}\} \subset T
A_{\mathrm{mel.min}} = \{C, D, E, F^{\#}, G^{\#}, A, B\} \subset T
などです(mel.minはメロディックマイナー)。
集合同士を見分けるとき、要素を書き並べる順番は関係ないので、集合として一致するという意味で、たとえば
C_{\mathrm{aug}} = E_{\mathrm{aug}} = G^{\#}_{\mathrm{aug}} = \{C, E, G^{\#}\}
です。
また、このようにしておくと、あるコードがあるスケールのダイアトニックコードであるかどうかは(おおむね)集合同士の包含関係で考えることができます。たとえば、
E_{7} = \{D, E, G^{\#}, B\} \subset \{C, D, E, F^{\#}, G^{\#}, A, B\} = A_{\mathrm{mel.min}}
であり、E7はAメロディックマイナーのダイアトニックコードです(「スケールから音を1つ飛ばしに取ってきたもの」になるかどうかについてはとくに言及できないため、ダイアトニックコードの定義によってはこれは不正確です)。
さて、Tの部分集合を(1音だけの場合も)総称してスケールと呼ぶことにすると、スケールの個数はTの部分集合の個数、すなわち2^{12} = 4096個ということになります。空集合の場合は考えないことにするならば4095個です。
それらのスケールのうち、ある性質を満たすものはどのくらいの種類があるのか、ということについて、この枠組みで少し考えてみたいと思います。
性質にもいろいろな種類があると思いますが、まずはいわゆる「移調の限られた」ものについて考えてみます。この用語は作曲家のオリヴィエ・メシアンによるもので、Wikipediaにある程度詳しい解説があります。
例として、移調が4回可能なスケールについて考えます。移調が12回ではなく4回しか可能ではないというのはどういうことかと言えば、半音ずつずらしていって、5個目の「調」まで移調したときに、もとのスケールと完全に構成音が一致してしまう、ということです。
たとえば、
C_{\mathrm{Tchel}} = \{C, C^{\#}, D^{\#}, E, F, G, G^{\#}, A, B\}
というスケールについて考えてみます。このスケールはメシアンの移調の限られた旋法の第三番の転回形で、ロシアの作曲家アレクサンドル・チェレプニンがよく用いた「チェレプニン音階」と呼ばれるものです。
これを半音ずつ上げていくと、
C_{\mathrm{Tchel}} = \{C, C^{\#}, D^{\#}, E, F, G, G^{\#}, A, B\}
C^{\#}_{\mathrm{Tchel}} = \{C^{\#}, D, E, F, F^{\#}, G^{\#}, A, A^{\#} C\}
D_{\mathrm{Tchel}} = \{D, D^{\#}, F, F^{\#}, G, A, A^{\#}, B, C^{\#}\}
D^{\#}_{\mathrm{Tchel}} = \{D^{\#}, E, F^{\#}, G, G^{\#}, A^{\#} B, C, D\}
E_{\mathrm{Tchel}} = \{E, F, G, G^{\#}, A, B, C, C^{\#}, D^{\#}\}
となって、C_{\mathrm{Tchel}}とE_{\mathrm{Tchel}}は一致します。
この先も周期4で同じことの繰り返しなので、結局、「調」の違いは合計で4種類しかないというわけです。
キースの All The Things You Are のピアノソロ 26,27小節目における 7(M7) とラヴェル
キースジャレットトリオの All The Things You Are のトランスクリプションを少しずつ上げていますが、ピアノソロの1コーラス目の途中にでてくるある右手の展開のアイデアについて書きます。ピアノソロ1コーラス目の元の記事はこちらです。
問題の譜面は以下のページの62,63小節目です。
原曲では Bbmin→Eb7 という進行である箇所で、あるモチーフを半音上で繰り返しています。
問題の譜面は以下のページの62,63小節目です。
原曲では Bbmin→Eb7 という進行である箇所で、あるモチーフを半音上で繰り返しています。
M.Ravel: Valses Nobles et Sentimentales 1.Modéré 53小節目から60小節目にかけての様々な7thの連続 その1
モーリス・ラヴェル作曲の「高雅で感傷的なワルツ(Valses Nobles et Sentimentales)」の一曲目の途中に、とても不思議な和音の連続があります。譜面では以下の通りです。
コードは感覚で振りました。
前半4小節はさておき、ここでは後半4小節に着目したいと思います。以下に記すことは一つの考え方であり、またこの考え方が一番自然だということを主張したいわけではないことを始めに記しておきます。
コードは感覚で振りました。
前半4小節はさておき、ここでは後半4小節に着目したいと思います。以下に記すことは一つの考え方であり、またこの考え方が一番自然だということを主張したいわけではないことを始めに記しておきます。
Keith Jarrett Trio "All The Things You Are" (1996, Tokyo) / Transcription 1
Keith Jarrett Trio が1996年3月30日の東京でのライブのアンコールとして演奏した All The Things You Are を3,4年前に手書きでトランスクライブしたものが出てきたので、読みやすいようにパソコンで打ち直し、せっかくなので公開しようと思います。
元の演奏動画はこれです↓
イントロだけでもすばらしく、短いテイクですが一曲を通してどこをとっても感動的で、何百回聴いても飽きません。イントロは1年生の11月にとある事情で採譜をし、残りも2年生くらいのときに採譜しました。
今日はテーマ部分だけ打ち込んだものをアップします。
元の演奏動画はこれです↓
イントロだけでもすばらしく、短いテイクですが一曲を通してどこをとっても感動的で、何百回聴いても飽きません。イントロは1年生の11月にとある事情で採譜をし、残りも2年生くらいのときに採譜しました。
今日はテーマ部分だけ打ち込んだものをアップします。
A.Scriabin: Piano Sonata No.5 185小節目から188小節目にかけての長三度転調
これまでとは違って特定のクラシックの楽曲の特定の部分について書きます。
20世紀ロシアの作曲家アレクサンドル・スクリャービンのピアノソナタ第5番は僕のとても好きな曲の一つで、以前ピアノの発表会で演奏したこともあるのですが、その中に面白い(ある種の)長三度転調があることを以前から認識しており、それについてここに言語化しておきたいと思います。
20世紀ロシアの作曲家アレクサンドル・スクリャービンのピアノソナタ第5番は僕のとても好きな曲の一つで、以前ピアノの発表会で演奏したこともあるのですが、その中に面白い(ある種の)長三度転調があることを以前から認識しており、それについてここに言語化しておきたいと思います。
この曲では全体的に Dominant 7th を短三度ずつ動かしていくという進行がたくさん出てきます(それらの和音は実際の形は 7th sus4 であったり、神秘和音(7th(#11))であったりしますが)。これはある種の中心軸システム(バルトーク)と言えるかもしれませんし、バルトークの名を出すまでもなく、短三度ずつ離れた和音を同じ機能を持ったものとみなす考え方は、調性音楽のさまざまな特徴から自然に導かれると私は考えています。
一方で、長三度転調は、いわゆるバークリーメソッドに登場する論理から説明することは、短三度転調(裏コード・サブドミナントマイナーなどから説明できる)よりは難しいと思われます(だからこそ Coltrane Change などといった特別な名称が与えられているのだろうとも思います)。
ここで、短三度転調は往々にして、Dominant 7th (b9) に含まれている dim7 の和音を軸としてなされることに注意すると、長三度転調はそれと平行して、何らかの和音に含まれる aug (増三和音)を軸として行えば、dim7 を軸として行われる短三度転調と同じような自然さをもって実現できると考えられます。和音に含まれる aug の出所はいろいろと考えられますが、Dominant 7th にテンションノートが付く場合、その中に現れうる aug は、全部で4種類ある aug の和音のうち、Major 7th の音が登場するもの以外の3種類、すなわち
- 1度(root)、3度、b13
- b9、sus4、13
- 9、#11、7度
の3種類であり、これらを軸とすれば長三度転調が自然に行えると考えられます(もっと言えば、3種類あるおかげで、任意の調への転調も行えることになると思いますが、ここでは同じ度数にある和音への読み替えのみを行うことにします)。
6月の演奏予定
6月の演奏予定です。
大友遼 initial truss 6tet
@四谷メビウス
Open:19:00 Start:20:00
MC: 2,500円+1drink、学生2,000円
大友遼(tb)
萩原優(sax)
堀京太郎(tp)
布施音人(pf / key)
小池勇輝(b)
秋元修(ds)
@東京大学駒場キャンパス
駒場コミュニケーションプラザ北館2階
音楽実習室
14時開場、14時30分開演
入場無料・先着100名
4人目として、F. Chopin 作曲、幻想ポロネーズ Op.61 を演奏します。
@宮前平indigo
14:00-18:00
¥2,000
森野熊男(ba)、布施音人(pf)
@高田馬場intro
18:30-終電
¥1,000(1drink付き)
楠井五月(ba)、布施音人(pf)
@新宿 Someday
Open:18:45 Start:19:45
Adv ¥3,000(+tax), Door ¥3,500(+tax)
陸悠(ts,comp,arr)
萩原優(as) 松丸契(as) 宮木謙介(bs)
河原真彩(tp) 堀京太郎(tp)
池本茂貴(tb) 笹栗良太(tb)
大友一樹(gt) 布施音人(p)
小池勇輝(b) 渡健人(ds)
Emotional Content
House & Jazz Session
@渋谷Dimension
19:00-23:00
¥1,000/1d
@高田馬場intro
18:30-終電
¥1,000(1drink付き)
安田幸司(ba)、布施音人(pf)
@台東区生涯学習センターミレニアムホール
Open:19:00 Start:19:30
Adv ¥2,500, Door ¥3,000
Special Guest: Marshall Gilkes (Tb)
@国分寺giee
Start:20:00
吉田奈都実(tp)
田尻智大(ts)
布施音人(pf)
手島甫(b)
藤原醇平(ds)
6/3(月)

@四谷メビウス
Open:19:00 Start:20:00
MC: 2,500円+1drink、学生2,000円
大友遼(tb)
萩原優(sax)
堀京太郎(tp)
布施音人(pf / key)
小池勇輝(b)
秋元修(ds)
6/8(土)
東京学部教養学部選抜学生コンサート@東京大学駒場キャンパス
駒場コミュニケーションプラザ北館2階
音楽実習室
14時開場、14時30分開演
入場無料・先着100名
4人目として、F. Chopin 作曲、幻想ポロネーズ Op.61 を演奏します。
6/9(日)
セッションホスト@宮前平indigo
14:00-18:00
¥2,000
森野熊男(ba)、布施音人(pf)
6/11(火)
セッションホスト@高田馬場intro
18:30-終電
¥1,000(1drink付き)
楠井五月(ba)、布施音人(pf)
6/13(木)
Yu Kuga Jazz Orchestra@新宿 Someday
Open:18:45 Start:19:45
Adv ¥3,000(+tax), Door ¥3,500(+tax)
陸悠(ts,comp,arr)
萩原優(as) 松丸契(as) 宮木謙介(bs)
河原真彩(tp) 堀京太郎(tp)
池本茂貴(tb) 笹栗良太(tb)
大友一樹(gt) 布施音人(p)
小池勇輝(b) 渡健人(ds)
6/14(金)
Emotional Content
House & Jazz Session
@渋谷Dimension
19:00-23:00
¥1,000/1d
6/18(火)
セッションホスト@高田馬場intro
18:30-終電
¥1,000(1drink付き)
安田幸司(ba)、布施音人(pf)
6/20(木)
福田組と Marshall Gilkes@台東区生涯学習センターミレニアムホール
Open:19:00 Start:19:30
Adv ¥2,500, Door ¥3,000
Special Guest: Marshall Gilkes (Tb)
6/21(金)
Natsumi Yoshida Chilltet@国分寺giee
Start:20:00
吉田奈都実(tp)
田尻智大(ts)
布施音人(pf)
手島甫(b)
藤原醇平(ds)
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